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兄。

勘違いしそうになる。

嘘のおかげで、なんでもなく甘えられて、好きに振舞えて、
妹どころか、子ども丸出しの喋り方をしてしまったりして、

咎められず、いつもより親し気に接してももらっている気さえするから、

私が、彼の耳に入るように、共通の知人に吹き込んだ嘘を、
彼がまだ知らないんじゃないかという気さえしてくる。

イチャイチャしている気分になる。

困った顔で「ん」と何かを差し出せば、「○○?」と聞いてくれる。

「○○なの?」
「○○だよ」
「これ、○○」

彼が喋ってくれて、私は何も言わなくてもいい気がする。

時々、
「あぁー(そんなこと言ってるぅー)」
「(他の人に誘われて行けなかったリレーイベントに)(来てたら)足引っ張ってたよ」
「(プールに行くの2週間に1回くらいじゃ)意味ないじゃん」
ってものすごく意地の悪い言い方をされるけれど、

そうしたら、ただ
「!(怒)」
と言葉にならない声を出して、八つ当たりみたいに彼を叩く。

でなければ、
「ふん」「ほっといてください」
と一方的にすねる。

完全に、どこをどう考えても、恋愛初期にありがちな錯覚なんだけれど、
そうやって毎日、保護者と被保護者のような付き合いをしていると、
そのまま一生過ごせそうな気がする。

悪くないバランスなんじゃないかなって。

向こうが年下の女の子に気を遣ってくれてるだけなのにね。

そして、どこをどう考えても、ただの妄想なんだけれど、
「あー、そんなこと思ったら、お兄ちゃんが嫉妬するな」
とも思う。

お兄ちゃんには私だけ。私にはお兄ちゃんだけ。

初めて兄の存在を聞かされた日、
なんの実感もないまま、なんの心の揺れも感じないまま、
目薬みたいにこぼれた続けた涙が忘れられない。

なぜ泣いたのか、今でも分からない。

兄が私の体を使ったのだとも思うし、
あの日やっと、会うべき私と兄とが会えたのだとも思うし、
理由はどれもであって、どれもでないような気もする。

母はあの時隣で、辛そうに(はたから見れば悲劇のヒロインぶって)泣いていたし、
姉は今でも兄に興味がなさそうだけれど、

あんな、言葉で説明できない体験をしたら、
私はもう兄を無視することなんてできなくて、
兄との間にある特別な結びつきを、疑えない。

だから今日もまた、
「兄が嫉妬する」「私には兄だけ」
と、兄を言い訳に恋愛を拒絶する。

(お兄ちゃん、守って)と思う。

寂しい時も、死にたい時も、そばにいて欲しいと思う。

他の男の人に目をやる暇がないくらい、
お兄ちゃんに夢中にさせておいて欲しいと思う。

by kou-m-aaa | 2015-09-18 22:51  

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